映画のはなし

観た映画のメモ

「ONCE ダブリンの街角で」を観た

たまたまTSUTAYAで見かけて、なんとなく気になったので借りました。何となく気になったのは、この映画がお洒落な雰囲気を醸し出していて、そして僕はお洒落なものに気を引かれやすいからです。はい。それ以上の理由はありません。

 

この映画、わずか2館での上映から、口コミのみによって有名になったらしい。すごいですよね。よくある話なのかな?そんなことないか。いや、いずれにせよすごい。映画の良さだけで這い上がってこれる良さをもった、実力映画だったわけだ。

 

あらすじ:

ダブリンの街角で毎日のようにギターをかき鳴らす男(グレン・ハンサードは、ある日、チェコ移民の女(マルケタ・イルグロヴァ)と出会う。ひょんなことから彼女にピアノの才能があることを知った男は、自分が書いた曲を彼女と一緒に演奏してみることに。すると、そのセッションは想像以上の素晴らしいものとなり……。

 

こういう選択肢もあるということ 

観てみましたが、この映画、僕は好きです。なぜかというと、ラブストーリーっぽいオチをつけないラブストーリーだからです。

 

ラブストーリーっぽくないオチというのは、ありきたりなハッピーエンド、つまり、両想いの二人が結ばれて幸せになる、というラストでは終わらない、ということ。

 

なんでそういうラストが好きなのかというと、多くの現実の恋愛を肯定してくれるから。…二人は結局結ばれなかった、それでも幸せなんだよ。というか、むしろそれこそが幸せなのかもね。 って思わせてくれる可能性を秘めているから。

 

もちろん、二人が結ばれる幸せというのもある。そういうラストで終わる映画は、もしかしたら、「あの人に告白しよう、あの人に会いに行こう、あの人にライン送ってみよう、あの人に話しかけてみよう」という行動への勇気を与えてくれるかもしれない。

 

でも「あの人とは結ばれなかったんだ、よし次だ」「あの人と自分は違ったんだ、今はこうなんだな」ってところに落ち着くことを受け容れることも、また勇気。色々な道があるのです、って思いたいのでした。

 

歌声

最後に、劇中での、主人公たちの曲。主人公の歌声。とても好きです。

力強いけど切ない感じが漂う、味のあるその乾き、その響きは、この映画のストーリー全体を象徴したもの、と言ってもおかしくはない気がします。