映画のはなし

観た映画のメモ

「中国の植物学者の娘たち」を観た

この映画はたしか、何かの映画に入っていた予告版をちらっと観て気になったからだったと思う。「アデル、ブルーは熱い色」と同じく、女性二人の同性愛を描いた映画。愛の美しさ、というフレーズはくさいけど何か好き。美しさに弱い。

 

(ちなみに、これを観たのは実は去年のクリスマス前だったんだよなあ。観たのにメモを書いていない映画が結構たまっているから、ああ、書き切らないと。観てからしばらく日にちをおいて書く時に苦労するのは、この導入の部分。「こういう理由があってこの映画を選んだ」とかそういうことをここでは大体書くんだけど、そんなのはすぐに忘れてしまっているから。)

 

あらすじ:

厳格な植物学者の父親とアン(リー・シャオラン)が暮らす植物園に、実習生としてやってきたミン(ミレーヌ・ジャンパノイ)。両親を亡くし孤児院で育ったミンと、母を亡くして以来、父親と2人きりで生きてきたアンは姉妹のように心を寄せ合う。やがて2人の関係は許されない愛へと高まってゆくが、そんなある日アンの兄が現れる。

(解説・あらすじ - 中国の植物学者の娘たち - 作品 - Yahoo!映画 2016.01.05現在より)

 

中国では同性愛はタブー視されているのだろうか。もしそうだとしたら、この映画はその風潮に対して非常に挑戦的な映画だ。

 

映画は、主役二人の女性の同性愛の物語。映画の中でも、同性愛は最も重い罪としてすら扱われている。あれが中国の現状なのか、それとも以前の中国の姿か。あるいは架空の話か。よく調べてないから分からないけど、日本は同性愛に対して比較的寛容というのはよく聞く話。同じアジアでも、国によってだいぶ異なるものだな。

 

さて、この映画の最大の見所は何だろう。個人的な感想だけど、少し冒頭でも触れたように最大の見所は「美しさ」だと思う。同性愛の社会的な背景は分からないけど、映画で描かれていた二人の愛は美しかった。

 

アジア的な美しさが豊かに表現されていた感じだったなあ。色っぽさも多少はあったけど、それよりもアジアンな感じの美しさの方が目についた、印象的だった。

 

ものすごく典型的な話だけど、欧州の美は自然を人為が支配した上で成り立つもので日本の美は自然とともに成立するもの、という。この映画は中国だけど、先の区別が妥当なものなら、日本的な美に近い美しさが出ていた。水の音、草木の揺れ、木製の諸々。こういう美しさもあるんだなあ、と思った。

 

ただ、同性愛とか、人間の感情が生み出す美しさに関しては、同じく同性愛を描いたこちらはフランス映画「アデル、ブルーは熱い色」が勝ると思う。愛とか性とか、そういう美しさは醜さや汚さ、つまりリアリティを抜きにしたら描けないと思う。中国のこの映画にもある程度のリアリティはあったけど、アデルが描いた目を背けたくなるほどのリアリティに宿る美しさには劣る感じがしたなあ。